蚊。

灰色の空気の中「パーーーーーーーーーーーーン」と、乾いた音が世界中に鳴り響いたのでござります。
オイラのふくらはぎに一匹の蚊が、なんの断りもなしにチュウチュクチュウチュクと血液を吸い取って、あげくの果てにかゆみ成分まで注入してくれてるので思わず「ええ加減にせぇ!」と、軽く突っ込んだつもりが……。殺虫罪禁固ンカンコンってな事になってしまったのでござります。
あまりのショックに、晩ご飯も喉を通らないので食パンにして(おかずはスーパーで半額になっていたほっけ75円。これってお互い殺し合ってるのでござります)どうして蚊は血液を吸うだけにしておいてくれないのか?と考え込んでいたらば、急に目の前が眩しく光りだしたので、かじりかけの食パンの陰越しにそーっと覗いて見てみたらば一匹の初老の蚊がこちらを見つめて浮んでおりました。
そして初老の蚊は言うのです。「ウチらは、あんさんらの事思て痒いのん注入してるんどす。ウチらがドンドン血ぃだけ吸うてたら、あんさんら血ぃ無くなってしもうてエラい事になりますやろ?そやからわざわざ痒いのん入れて気ぃ付けよしやぁ〜。言うて教えてあげてるんどすえ。感謝して欲しいくらいどすわ。ほな、ちょっとよろしいやろか?」と、オイラめがけてヨロヨロ飛んで来たので……。南無阿弥陀仏